量子光学:電子と正孔の量子液滴
Nature 506, 7489 doi: 10.1038/nature12994
相互作用する多体系は、素粒子から宇宙構造に及ぶ物体の安定な配置に特徴があり、より複雑な構造の構成要素ともなっている。有効質量、スピン、電荷を持つ適切な準粒子を導入して結晶性固体の理論的扱いに相互作用を取り入れることはしばしば可能であり、今度はこうした量が物質の伝導率、光応答、相転移に影響を及ぼす。さらなる準粒子相互作用によって、モット絶縁体の出現、超伝導、高温超伝導体の擬ギャップ相などの新しい巨視的現象が生じる強相関配置が作られることもある。半導体では、伝導帯の電子が価電子帯の正孔(電子の空孔)に引力を及ぼして、励起子と呼ばれる束縛された対が形成される。これはもう1つの準粒子である。2個の励起子は互いに結合して、しばしば励起子分子と呼ばれる分子を作ることもあり、多重励起子さえも存在する可能性がある。ゲルマニウムやシリコンなどの間接ギャップ半導体では、熱力学的相転移によって、電子–正孔液滴が生じる可能性があり、その直径はマイクロメートル領域に近づき得る。ガリウムヒ素などの直接ギャップ半導体では、そのような熱力学的過程が起こるには励起子の寿命は短過ぎる。その代わり、熱化によってではなく、主に多体相互作用によって、さまざまな準粒子配置が安定になる。それから生じる非平衡量子運動論は複雑なため、3個以上のクーロン相関した電子–正孔対を含む安定な凝集体はほとんど調べられていない。本論文では、そのような複雑な凝集体を調べ、荷電粒子の新しい安定な配置を特定した。我々はこれを量子液滴と呼ぶ。この配置はプラズマ中に存在し、その小さいサイズのため量子化を示す。これは電荷中性であり、液体に特徴的な対相関関数を持つ少数個の粒子を含んでいる。我々は、超短光パルスによりガリウムヒ素量子井戸中に生成した電子–正孔プラズマにおいて量子液滴が存在することを示す実験的証拠と理論的証拠を提示する。

