Letter

生化学:ヒト腸内の特定のバクテロイデス門細菌群が持つキシログルカン代謝能は、独立した1個の遺伝子座によってもたらされている

Nature 506, 7489 doi: 10.1038/nature12907

ヒトのバランスのとれた食餌には、多様な果物や野菜の細胞壁に由来する非デンプン性多糖類(食物繊維と総称される)がかなりの量含まれる。ヒトゲノムにはその消化酵素がほとんどコードされていないため、ヒトが食物繊維からエネルギーを取り出す能力は、遠位腸管に定着している大きな微生物群集が行う複雑な糖質の糖化や発酵に依存している。キシログルカン(XyG)は、植物細胞壁に含まれる高度に分枝した多糖類からなる広く見られるファミリーだが、ヒト腸管でのXyGの分解機構は不明で、分解後の栄養素としての重要性も分かっていない。今回我々は、よく見られる大腸共生菌であるバクテロイデス属の細菌Bacteroides ovatusの持つXyG異化能は、1個の複雑な遺伝子座によるものであることを示す。標的化による遺伝子破壊、予測される全てのグリコシドヒドロラーゼおよび糖質結合タンパク質の生化学的分析、異化過程で最初に働くエンドキシログルカナーゼの三次元構造の決定によって、XyGがその後の代謝のために、構成成分である単糖類へと加水分解される反応の分子機構が明らかになった。また、オルソロガスなXyG資化遺伝子座(XyGUL)が、バクテロイデス門におけるXyG異化作用の遺伝的マーカーになること、XyGULは限られた数の系統発生的に多様な系統にしかないこと、XyGULは調べたヒトメタゲノム中には広く見られることが分かった。これらの知見は、食物繊維に非常に豊富に含まれる成分であっても、その代謝はニッチ生物種によって担われている可能性があることを示しており、ヒトの食餌、栄養摂取および健康に腸内共生生物集団の生態が原理的にも実際的にも直接関係することを意味する。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度