Letter

地球化学:イエローストーンに10億年にわたり蓄積された放射壊変起源ヘリウムの莫大な脱ガス

Nature 506, 7488 doi: 10.1038/nature12992

ヘリウムは、地球科学のさまざまな分野で重要なトレーサーとして用いられている。そうした分野では、ヘリウムの比較的簡単な同位体システマティクスを用いて、マントルからの脱ガスを調べたり、地下水の年代や大陸の上昇時期が決定されたりしている。米国イエローストーン国立公園の熱水系は、ヘリウム3/ヘリウム4同位体比が高いことがよく知られており、イエローストーン・ホットスポットが深部マントル起源である証拠として挙げられている。しかし、この地域から放出されているヘリウムの大部分は、実際はウランとトリウムのα崩壊により地殻内部で生成された放射壊変起源のヘリウム4である。本論文では、ガスの放出速度と化学分析および同位体分析を組み合わせて、イエローストーンの地殻からのヘリウム4放出速度は、地殻内部で生成される場合に想定される放出速度を数桁上回っていることを示す。ヘリウムはイエローストーンの下で始生代(25億年以上前)の大陸地塊岩の中に少なくとも数億年間蓄積され、イエローストーン・ホットスポットによって生じた強い地殻変成作用によって、過去200万年の間に解放されたにすぎないと思われる。今回の結果は、地質学的時間スケールにおける地殻からのヘリウム放出の極端な変動を実証し、テクトニクス活動やマグマ活動が活発な地域におけるヘリウムの地殻スケールの開放系挙動を示唆している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度