細胞生物学:統合型生殖周期の収斂進化が単相生活を促進する
Nature 506, 7488 doi: 10.1038/nature12891
有性生殖は真核生物種に限定されており、半数体の配偶子が接合して二倍体細胞が形成され、その後これが減数分裂を経て組換えの起こった半数体が形成される。この過程は単細胞の出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)で詳しく研究されており、この酵母では接合と減数分裂の調節が別々に行われている。今回我々は、S. cerevisiaeに近縁な半子嚢菌酵母Candida lusitaniaeの有性生殖の仕組みを調べた。S. cerevisiaeとは対照的に、C. lusitaniaeでは接合の調節と減数分裂の調節の両プログラムが一体化して、高度に統合された生殖周期プログラムが存在することが分かった。C. lusitaniaeの生殖周期のプロファイル解析により、接合と減数分裂の際の遺伝子発現パターンが重複していることが分かり、共調節されていることが示唆された。この重複は、特にフェロモンMAPKシグナル伝達に関わる遺伝子群で顕著で、これらの遺伝子はC. lusitaniaeの生殖周期を通して、高度に誘導されていた。さらに遺伝的解析から、C. lusitaniaeでは、S. cerevisiaeの「二倍体特異的」因子であるIME2のオルソログとS. cerevisiaeの接合の主要調節因子であるSTE12が、接合と減数分裂の両方の進行に必要であることが明らかになった。これらの結果を総合すると、S. cerevisiaeとC. lusitaniaeの間では有性生殖プログラムの大幅な再編が起こっていることは明らかで、C. lusitaniaeの生殖周期は、S. cerevisiaeよりも系統的に遠縁の子嚢菌分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)によく似た協調的な仕組みになっていることが確実になった。酵母の有性生殖の進化を考慮した上でこれらの結果をみると、接合と減数分裂の調節の一体化は、単相生活を促進するための適応として複数回進化してきたものと考えられる。

