古代ゲノム学:モンタナ州西部にあるクローヴィス人の墓地遺跡で発掘された更新世後期のヒトのゲノム
Nature 506, 7487 doi: 10.1038/nature13025
クローヴィス文化は考古学的に北米最古の文化であり、独特な両面加工石器、石刃、骨角器技術を持ち、放射性炭素年代測定値で11,100~10,700 14C年BP(暦年代で13,000~12,600年前)の北米に広く分布した。50年近くにわたる考古学研究によって、クローヴィス文化は北米氷床の南部で、先駆的な技術から発達したものであることが指摘されている。しかし、これらの道具を作ったクローヴィス人の起源やクローヴィス人の遺伝子がどのように受け継がれたかについては、どちらもまだ議論が続いている。一般に、これらクローヴィス人は究極的にはアジア由来であり、現在のアメリカ先住民に直接つながったと考えられている。これとは別に、リュートレ仮説では、クローヴィス人の祖先は最終氷期極大期にヨーロッパ南西部から移動してきたと推測している。本論文では、米国モンタナ州西部のアンジック墓地遺跡で発掘された男性幼児(Anzick-1)のゲノム塩基配列を報告する。この人骨は、10,705 ± 35 14C年BP(暦年代でおよそ12,707~12,556年前)のもので、クローヴィスの道具類と共に出土した。このゲノム塩基配列を平均深度14.4倍で解読したところ、シベリアの後期旧石器時代のマリタ人からアメリカ先住民の祖先への遺伝子流動が、このAnzick-1個体でも共有されており、従って、この遺伝子流動が12,600年前よりも前に起こったことが明らかになった。また、Anzick-1個体と南北アメリカのさまざまな先住民集団との類縁関係は全て、他大陸のどの集団との類縁関係よりも近いことが分かった。これらのデータは、Anzick-1が現代のアメリカ先住民の多くにつながる直接の祖先集団に属していたとする仮説と適合する。さらに我々は、Anzick-1以前のアメリカ先住民集団で古い分岐が1回起こったことの証拠も得た。

