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創薬:δ-オピオイド受容体シグナル伝達の分子制御
Nature 506, 7487 doi: 10.1038/nature12944
オピオイドは広く処方されており、また不正使用もされている薬剤だが、そのシグナル伝達機構はよく分かっていない。今回我々は、ヒトδ-オピオイド受容体(δ-OR)の1.8 Åでの高分解能結晶構造を報告する。この構造から、受容体の機能的選択性と構成的活性のアロステリック制御に関わるナトリウムイオンの存在とその基本的な役割が明らかになった。特徴的な構造のδ-ORナトリウムイオン部位は、7回膜貫通バンドルの中心部にある極性相互作用ネットワークの中央に位置しており、ナトリウムイオンがアゴニストへの親和性が低下した状態を安定化することでシグナル伝達を調節している。部位特異的変異誘発実験と機能研究により、アロステリックに働くナトリウムイオン部位の残基Asn 131をアラニンあるいはバリンに変えると、β-アレスチンに仲介される構成的シグナル伝達が増大することが明らかになった。Asp95AlaやAsn310Ala、Asn314Ala変異により、ナルトリンドールのような古典的なδ-オピオイドアンタゴニストが、β-アレスチンシグナル伝達を選択的に強化するアゴニストに変わる。このデータにより、オピオイドシグナル伝達のアロステリックなナトリウムイオン制御の分子基盤が確立され、ナトリウムに配位している残基群が典型的なGタンパク質共役受容体で有効性切り替えスイッチとして機能していることが明らかになった。

