生化学:DNA切断修復の際には、RecAバンドルが離れた姉妹染色体間の相同部分の対合を仲介する
Nature 506, 7487 doi: 10.1038/nature12868
相同組換えによるDNA二本鎖切断(DSB)修復は、遺伝的完全性を維持するために、あらゆる生物で進化してきた。相同組換えの際に起こる多数の反応は明らかになっているが、それらの反応が細胞内のどこで、いつ、どのようにして起こるのかはよく分かっていない。今回我々は、従来型顕微鏡と超解像顕微鏡法とを使って、生きた大腸菌(Escherichia coli)細胞内でのDSB修復の進行を観察し、とりわけ、大腸菌細胞の両側に遠く離れた姉妹遺伝子座間でも、相同組換えが効率よく起こるかどうかに着目した。姉妹染色体の一方に生じた部位特異的DSBが、離れた姉妹染色体の相同性を利用して効率よく修復され得ることが分かった。DSBのRecBCDによる加工処理後に、RecAが切断部位に誘引されると、それを核としてさらに多数のRecA分子を含む束状構造(バンドル)が形成され、これが、DSB部位に生じた2つの一本鎖DNA領域に結合する。成熟したバンドルは細胞の長軸方向に沿って、まとまった核様体と内膜の間の空間を通って伸長する。バンドル形成に続いて起こる対合の過程では、切断された遺伝子座の2つの末端が核様体の周辺部に位置を変え、切断されていない姉妹染色体の相同部位に向かってそろって速やかに移動していく。姉妹遺伝子座が対合した後、RecAバンドルはばらばらになって、相同組換えの後半で働くタンパク質が集められ、最初のDSB形成から1~2世代分に相当する時間の後には、生存可能な組換え体が生じる。バンドル形成のできない変異RecAタンパク質は、姉妹遺伝子座の対合も、DSB誘発による修復も行えない。この研究は、DNAのDSB末端の移動の誘導にRecAが予想外の役割を果たし、DNA鎖の侵入と移行反応の前に起こる離れたところの相同部位の探索を促進していることを明らかにしている。

