構造生物学:新生ペプチドの輸送や膜挿入を行っているSec61複合体の構造
Nature 506, 7486 doi: 10.1038/nature12950
分泌タンパク質や膜貫通タンパク質の生合成には、非常に広く保存されているタンパク質透過チャネル(PCC)であるSec61複合体(細菌ではSecY複合体)の活性が必要である。真核細胞では、PCCは翻訳中のリボソームに結合することが可能な小胞体膜に局在していて、翻訳と並行してタンパク質を輸送する。Sec複合体は、Sec61α、βとγという3つのサブユニットからなり、親水性のペプチド輸送のための水性の環境に加えて、Sec61αサブユニットには側方に開口部が形成され、これは疎水性のドメインが膜に入り込むためのゲートとして機能していると考えられている。プラグ(栓)となるへリックスやいわゆる小孔リングは、イオンがPCCを通って流れないように封鎖する役割を果たしていると考えられており、輸送されるペプチドがうまく収まるように位置を変えると予想されている。複数の結晶構造や低温電子顕微鏡構造により、閉じた状態、あるいは一部が開いた状態のSec61やSecY複合体のさまざまな構造が明らかになっている。しかし、これらの試料の中で、生化学的にはっきり輸送状態と確定されるものはない。今回我々は、新生ペプチドの輸送、あるいは膜への挿入を行っている、リボソームに結合したSec61複合体の低温電子顕微鏡構造を示す。我々のデータから、親水性ペプチドはSec複合体を通って輸送され、この時に複合体の側方ゲートは基本的には閉じており、中央チャネルの構造は少しだけしか変化しないことが分かった。疎水的なドメインの膜への挿入によって、Sec複合体の側方ゲートと考えられる部分が開口するらしいが、プラグの再配置によりイオン透過障壁は維持されている。これらをまとめると、タンパク質透過チャネルとしてのSec61複合体の基本的な活性に対する構造モデルが得られる。

