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大気化学:海氷リードがもたらす北極境界層内の水銀とオゾンに対する対流強制力

Nature 506, 7486 doi: 10.1038/nature12924

現在進行している多年氷から季節氷への北極海氷のレジームシフトは、海氷のリード(海氷中の開放水域にある大きな一時的水路)が開閉するさらに動的なパターンと関連があり、北極の大気循環と生物地球化学的循環に影響を及ぼす可能性がある。水銀とオゾンは、北極における減少事象の際に大気境界層から急速に取り除かれる。こうした減少事象は、大気中においてガス状の元素水銀(Hg(0))が酸化されて酸化水銀(Hg(II))となり、その後氷や雪に堆積することと、オゾン破壊によって生じる。オゾン減少事象は、大気中のヒドロキシルラジカルの化学的性質に影響を及ぼして空気の酸化能力を変化させ得るが、大気中の水銀減少事象は、北極への水銀堆積量を増加させ、そのうちの一部は融雪の際に生態系に入り得る。本論文では、アラスカ州バロー近郊の2か所の野外調査で得られた、大気中の水銀とオゾンの地表近傍の測定結果を提示する。海岸での減少事象は、海氷ダイナミクスに直接関連があることが分かった。固まった氷の被覆によって、Hg(0)とオゾンの減少が促進されるが、開放水域の海氷リードが風上にあるとバックグラウンドに近い濃度にすぐに回復する。Hg(0)とオゾンの急速な回復は、安定した北極境界層内の浅部で海氷リードから始まる対流によって、上空の枯渇していない空気塊のHg(0)とオゾンが混合されることが原因と考えられる。この対流強制力によって、減少の化学反応が活発なときには、新たな酸化にさらされている表層へHg(0)がさらに供給される。今後の研究では、北極域全体の海氷ダイナミクスの大規模な変化によって、脆弱な北極生態系におけるオゾンの化学的作用と水銀堆積がどの程度変化するか解明する必要があると思われる。

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