Letter
宇宙:明るい高赤方偏移のクエーサー周辺のライマンα輝線で示される宇宙のクモの巣
Nature 506, 7486 doi: 10.1038/nature12898
宇宙の構造形成のシミュレーションからは、銀河が「宇宙のクモの巣(cosmic web)」に埋め込められ、そこでは希薄で高度にイオン化されたガスとしてほとんどのバリオンが存在することが予測されている。この物質は、背景の放射源に対する吸収線として数十年の間研究されてきたが、こうした本質的に一次元のプローブが疎であることから、背後にある宇宙のクモの巣の三次元的形態を直接絞り込むことは困難である。本論文では、赤方偏移 z ≈ 2.3に位置する明るいクエーサーによって蛍光的に輝く宇宙ガスの探査中に発見された、ライマンα輝線における宇宙のクモの巣のフィラメントを観測したことについて報告する。線形投影された物理的な約460キロパーセクの大きさを考えれば、電波領域で静穏なクエーサー UM 287を取り巻くライマンα輝線は、付随すると考えられるいかなるダークマターハローのビリアル半径より大きく広がっており、従って銀河間ガスに由来する。観測された輝線から推測されるフィラメントの低温ガスの質量は、Cをガスのクランピング因子として太陽質量のおよそ1012.0 ± 0.5/C1/2倍となり、宇宙論的なシミュレーションで典型的に見られるものよりも10倍以上大きく、キロパーセク以下の大きさを持つ銀河間のガス塊の集団が現在の数値モデルに欠けている可能性が示唆される。

