Letter

化学:分子二量体の分子間クーロン脱励起を駆動する共鳴オージェ崩壊

Nature 505, 7485 doi: 10.1038/nature12927

1997年に、水素結合したクラスターやファンデルワールス結合したクラスターなどの緩く束縛された化学系の中に置かれた電子励起した原子や分子は、その過剰なエネルギーを隣接する種へ移し、次に隣接する種が低エネルギー電子を放出することで、効率的に脱励起できると予言された。それ以来、この分子間クーロン脱励起(ICD)過程がありふれた現象であることが示され、低エネルギー電子が重要な役割を果たしていることが分かっている電離放射線によって生じるDNA損傷におけるその役割に疑問が提起されている。最近、標的原子を共鳴的に内殻励起することによって効率的かつサイト選択的にICDを生じさせることができ、その際標的原子はオージェ崩壊を通して、ICDが起こるのに必要な十分高い励起エネルギーを持つイオン種へ変換されると提案された。今回我々は、分子状窒素と一酸化炭素両方の二量体において、共鳴オージェ崩壊によって実際にICDを生じさせ得ることを実験的に示す。イオン・電子運動量分光法を用いて、共鳴オージェ駆動ICDカスケードにおいて生成される荷電種を同時に測定することにより、各分子が解離するのに必要な20フェムト秒より短い時間でICDが起こることを見いだした。我々が実験により確認したこの過程とその効率は、より局所性と標的性の高いがん放射線治療向けの共鳴X線励起法を開発する新たな取り組みのきっかけとなる可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度