分子生物学:RNA構造の全ゲノム探索によって明らかになったin vivoでのmRNA構造の能動的解きほぐし
Nature 505, 7485 doi: 10.1038/nature12894
RNAは、情報分子として働くのに加えて、生物学的作用の直接的なエフェクターとして働くという二重の役割を持っている。エフェクターとしての機能は、RNAが複雑な二次的また三次的な折りたたみ構造をとれるために可能となっているので、RNA構造の決定については、計算や実験によって大規模な努力がなされてきた。RNA構造を評価する既存の方法は、おおむねin vitro系に制限されているが、in vitroでRNAの折りたたみを推進する熱力学的な力では、in vivoでの安定なRNA構造を予測するには不十分である可能性がある。実際、RNA結合タンパク質やATP依存性ヘリカーゼの存在は、細胞内でどんな構造が存在するのかに影響することがある。本研究では、in vivoの無傷条件下で、RNA構造を単一ヌクレオチドレベルの精度で大規模に測定する手法を示す。この方法は、対を形成していないアデニンおよびシトシン残基と反応する硫酸ジメチル(DMS)によるin vivo修飾に基づくもので、その後に大規模塩基配列解読により修飾を検出する。酵母と哺乳類細胞を用いて得られた我々のデータは、既知のメッセンジャーRNA(mRNA)構造や出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)リボソームの高分解能結晶構造と非常によく一致している。in vivoとin vitroのデータの比較から、急速に分裂している細胞では、in vivoで構造化されているmRNA領域が、in vitroの場合よりもずっと少ないことが分かった。熱に対して安定なRNA構造であっても、細胞内では変性していることが多く、これはRNA構造調節における細胞過程の重要性をはっきり示している。実際に、酵母でATP枯渇条件下でのmRNA構造を解析したところ、細胞内でのmRNAの大部分が折りたたまれていない状態に、エネルギー依存的な過程が強く関わっていることが明らかになった。我々の研究は、生理的なRNA構造の機能解析を広く可能にするものであり、タンパク質は熱力学的に最も有利な構造を形成するという、タンパク質の折りたたみについてのアンフィンセンの説とは対照的に、in vivoでのmRNA構造の決定には熱力学的性質だけでは不十分であることを示している。

