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微生物学:ブルーストリパノソーマにおけるクオラムセンシングシグナル伝達経路の全ゲノム分析

Nature 505, 7485 doi: 10.1038/nature12864

寄生性原虫ブルーストリパノソーマ(Trypanosoma brucei spp.)は、サハラ以南のアフリカでヒトおよび家畜の重大な疾患の原因となっている。この寄生生物は哺乳類の血液中で、増殖性の「スレンダー」型、およびツェツェバエへの感染を起こす静止状態の「スタンピー」型の2種類の発育型で存在する。スレンダー型からスタンピー型への分化は、微生物系でのクオラムセンシングに似た密度依存性応答であり、感染の慢性化と疾患伝播の両方を確実にするという点で、ブルーストリパノソーマの生活環にとって非常に重要である。この応答を誘発するSIF(stumpy induction factor)の実体はまだよく分かっておらず、その細胞内シグナル伝達経路も突き止められていない。研究用に改変した(単形性の)トリパノソーマ株はSIFには非効率的にしか反応しないが、細胞透過性のcAMPやAMP類似体にさらされた際にはスタンピー型の特徴を持った型を生成し得る。このことを利用し、我々は全ゲノムRNA干渉ライブラリースクリーニングを用いて、スタンピー型の形成を推し進めるシグナル伝達経路の構成要素を明らかにした。単形性のブルーストリパノソーマを8-(4-クロロフェニルチオ)-cAMP(pCPT-cAMP)または8-pCPT-2′-O-メチル-5′-AMPにさらす別々のスクリーニングによって、それらのシグナルに反応せず、よって増殖性が残っている細胞を選別した。Ion Torrentシーケンサーをベースに使った全ゲノムRNAi標的塩基配列解読法によって、プリン代謝に始まり、シグナルトランスデューサー(キナーゼ、ホスファターゼ)を経て遺伝子発現の調節因子に至るシグナル伝達経路の各段階に関連する遺伝子群が突き止められた。各段階の遺伝子は、自然にスタンピー型を形成する能力のある細胞で別々に検証され、in vivoでの密度感知における役割が確認された。RNA結合タンパク質と推定されるPBP7は正常なクオラムセンシングに必須であり、過剰発現した際には細胞周期の停止と感染能力を促進した。この研究から、トリパノソーマのクオラムセンシングに関するシグナル伝達経路は真核細胞の基礎的な静止経路と似ていることが明らかになった。その構成要素は、クオラムセンシングを妨害することによる治療法の標的となる可能性がある。

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