Letter

惑星科学:地球型惑星における暴走温室効果過程の日射しきい値の増大

Nature 504, 7479 doi: 10.1038/nature12827

地質学的な時間スケールでの太陽光度の増大は、地球の気候を温暖化し、水の蒸発量を増加させるはずであり、ひいては大気の温室効果を強化するだろう。日射量が特定の臨界を超えると、この温室効果の不安定化フィードバックは、海水が完全に蒸発するまで「暴走」し得る。成層圏の湿度の増加を通して、温暖化によって海水が蒸発して宇宙へ失われ、暴走温室状態が起こる前に海洋が消失する可能性もある。しかし、こうした過程における日射量の臨界しきい値は、地球の気候の重要な安定化機能である動的フィードバック効果と雲のフィードバック効果を説明できない一次元モデルを用いてこれまで見積もられてきたため、まだよく分かっていない。本論文では、三次元全球気候モデルを用いて、暴走温室状態が起こる日射しきい値が、約375 W m−2であることを示す。これは、これまで考えられていた値よりもかなり大きい。我々のモデルは、高温で極端に湿潤な大気において、日射量の増加に対する地球型惑星の気候応答を定量化するために特別に開発された。これまでの研究とは対照的に、雲には、長期の温暖化を不安定化するフィードバック効果があることが見いだされた。しかし、ハドレー循環により形成される飽和していない下降気流の領域には安定化効果があり、これは暴走温室効果に対する日射量の限界を一次元モデルから推測されるよりも高い値へ変化させるのに十分なほど強い。さらに、放射効果には波長依存性があるため、成層圏は、たとえフラックスが大きくても大気中の水の散逸を阻止するのに十分寒冷で乾燥したままである。このことから、金星史の初期に液体の水が存在していた可能性が強く示唆され、他の恒星のハビタブルゾーン(生命居住可能領域)の大きさが拡大される。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度