構造生物学:膜内在型プロテアーゼRce1によるファルネシル化CAAXタンパク質の分解の仕組み
Nature 504, 7479 doi: 10.1038/nature12754
CAAXタンパク質は、増殖、分化、発がんなどの過程を制御している多数のシグナル伝達経路で重要な役割を果たしている。約120種に上る哺乳類CAAXタンパク質が細胞膜で機能し、その中にはRasスーパーファミリーの低分子量GTPアーゼ、核ラミン、ヘテロ三量体GTPアーゼのγサブユニット、いくつかのプロテインキナーゼ、プロテインホスファターゼが含まれている。CAAXタンパク質の細胞膜への正しい局在は、カルボキシ末端にあるCAAXモチーフ(Cはシステイン、Aは脂肪族アミノ酸、Xは任意のアミノ酸)に起こる一連の翻訳後修飾によって編成される。これらの反応には、システイン残基のプレニル化、AAXトリペプチドの切断、カルボキシプレニル化システイン残基のメチル化が関係する。CAAX分解活性を持つ主な酵素は、小胞体に存在する細胞内膜型プロテアーゼ(IMP)のRce1(Ras and a-factor converting enzyme 1)である。Rce1の構造とタンパク質分解の作用機構はまだ解明されていなかった。今回我々は、古細菌の一種であるMethanococcus maripaludisが持つRce1ホモログの結晶構造を明らかにした。この古細菌由来Rce1のファルネシル化ペプチドに対するエンドペプチダーゼ活性の特異性は、真核生物のRce1とよく似ている。Rce1の8本の膜貫通αヘリックスからなる構造や触媒部位は、他のIMPとは異なっている。触媒残基は膜の内側に約10 Å入った所に位置し、円錐状のくぼみを介して細胞質と膜に露出しており、このくぼみにプレニル化CAAX基質が入る。ファルネシル脂質が2本の膜貫通αヘリックスの開いた空間に結合し、その結果、切断される共有結合が、グルタミン酸によって活性化された求核性水分子のすぐ近くに来るものと考えられる。この研究は、Rce1が新規なIMPファミリー(グルタミン酸IMP)の創始者的メンバーであることを示唆している。

