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微生物学:鞭毛成長の連鎖機構

Nature 504, 7479 doi: 10.1038/nature12682

細菌は、細胞表面から伸びた長い鞭毛を用いて泳ぐ。鞭毛を構成する数千のタンパク質サブユニットは、各鞭毛の基部にある搬出装置によって細胞膜を通って輸送される。折りたたみがほどけたサブユニットは次いで、成長する鞭毛の中心部にある細いチャネルを通って先端へ移動し、そこで結晶化して構造が新生する。細胞外部の鞭毛が長くなっても、鞭毛の成長速度は変化しない。外部の鞭毛チャネル内にはエネルギー源が見当たらないのに、サブユニット移動が一定速度で維持されている仕組みは、謎である。我々は、折りたたみのほどけたサブユニット自体のエントロピー力を利用する鞭毛成長のために単純な物理的機構が働いていることの証拠を示す。搬出装置に収まったサブユニットが、並置されたアミノ(N)末端ヘリックスとカルボキシ(C)末端へリックスの頭尾結合を介して遊離サブユニットに捕捉され得ることが分かった。こうした結合が次々に繰り返されることにより多数のサブユニットからなる鎖が形成され、それが次のサブユニットをチャネル内へと引き込み、先端へとけん引するのだろうと我々は考える。さらに、細菌細胞で成長するフィラメントを単離することで、鞭毛の移動チャネル中に、我々が予想した頭尾結合サブユニットの鎖が存在することが明らかになった。熱力学解析により、サブユニットからなる鎖中の結合が、鞭毛先端で繰り返し起こるサブユニット結晶化によって発生するけん引力に耐えられることが確認された。また、重合体理論からは、折りたたみがほどけた各サブユニットのN末端が結晶化する際に、同じサブユニットC末端のエントロピー力が上昇し、次のサブユニットを輸送装置から引き出すのに必要な閾値を急速に超えることが予想される。このけん引力が、成長を続ける鞭毛の伸長を自動的に調節し、先端へのサブユニット輸送を一定速度に維持していると考えられる。

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