細胞生物学:LIMP-2の構造から得られた、SR-BIとCD36に関係する機能についての考察
Nature 504, 7478 doi: 10.1038/nature12684
スカベンジャー受容体タンパク質のCD36スーパーファミリーに属するタンパク質は、脂質代謝と自然免疫の重要な調節因子であり、正常なリポタンパク質と修飾リポタンパク質に加えて、病原体関連分子パターンも認識する。このファミリーを構成するのは、SR-BI(コレステロールを肝臓やステロイド産生器官へと運び、C型肝炎ウイルスの共受容体でもある)、LIMP-2/LGP85(β-グルコセレブロシダーゼのリソソームへの輸送に関わり、エンテロウイルス71やコクサッキーウイルスの受容体としても働く)、およびCD36(脂肪酸輸送体であり、衰弱した細胞やマラリア原虫が感染した赤血球のファゴサイトーシスの受容体でもある)の3種類の受容体である。特にCD36は、修飾リポタンパク質とアミロイドβの受容体でもあり、アテローム性動脈硬化症やアルツハイマー病の発症にも関係することが分かっている。しかし、CD36ファミリーのタンパク質は健康や病気に重要な役割を果たしているにもかかわらず、構造に関する情報が不足していたために、その機能や異常についての解明が進んでいなかった。今回我々は、LIMP-2の結晶構造を決定し、ホモロジーモデリングによってSR-BIとCD36の構造も推定した。LIMP-2にはβ-グルコセレブロシダーゼが結合するヘリックスバンドルがあり、SR-BI、CD36の場合にも、ここにリガンドが結合する可能性が高い。この結晶構造でもう1つ目立つのは大きな空洞の存在で、これは分子を完全に横断している。SR-BIへの変異導入実験から、この空洞はトンネルとして働き、コレステロール(エステル)は、結合していたリポタンパク質から離れて、この空洞を通って細胞膜の脂質二重層外層へと運ばれる。これらの結果から、受容体表面に結合したリガンドの脂質成分がトンネルを通って膜へと受け渡されるというモデルを裏付ける証拠が得られ、SR-BIとCD36の選択的な脂質運搬特性が説明される。

