構造生物学:PPRタンパク質が行う一本鎖RNAのモジュール方式による認識の構造的基盤
Nature 504, 7478 doi: 10.1038/nature12651
PPR(pentatricopeptide repeat)タンパク質は、塩基配列特異的RNA結合タンパク質の大きなファミリーを形成していて、RNA代謝の多数の局面に関与している。PPRタンパク質は、陸上植物のミトコンドリアおよび葉緑体で非常に多く見られ、モジュール方式によって一本鎖RNA(ssRNA)を認識している。トウモロコシ葉緑体のタンパク質であるPPR10は、ATPI–ATPHおよびPSAJ–RPL33という遺伝子間領域にある2か所の同じRNA配列(それぞれATPHおよびPSAJと呼ぶ)に結合する。PPR10は、5′あるいは3′エキソヌクレアーゼから標的RNAエレメントを防御することにより、対応するメッセンジャーRNA の5′および3′末端を決定する。PPRタンパク質の機能は詳細に調べられているにもかかわらず、PPRタンパク質によるssRNAの塩基配列特異的認識の構造的基盤はまだ解明されていない。本論文では、RNAが結合していない状態と結合した状態のPPR10の結晶構造を、それぞれ分解能2.85 Åおよび2.45 Åで示す。RNAが結合していない場合、PPR10の19個の反復構造は、右巻き超らせん構造を作るように配列されている。2個のPPR10は逆平行で相互に絡み合ったホモ二量体を形成し、標的ssRNA(18ヌクレオチドからなるPSAJエレメント)に結合する際には、かなり大きなコンホメーション変化が見られる。PSAJの6個のヌクレオチドは、それぞれに対応する6個のPPR10反復構造によって、予測されていたコードに従って特異的に認識される。これで、RNAの塩基であるA、GとUの特異的でモジュール方式による認識の分子基盤が明らかになった。PPRタンパク質によるRNA認識が構造的に解明されたことは、RNA関連研究領域におけるPPRタンパク質の生物工学的応用を考える際の重要な枠組みとなる。

