生化学:C型肝炎ウイルス様リボソーム内部侵入部位は、eIF3を引き離して40Sサブユニットに接触する
Nature 503, 7477 doi: 10.1038/nature12658
C型肝炎ウイルス(HCV)とブタコレラウイルス(CSFV)のメッセンジャーRNAには、類似した(HCV様)リボソーム内部侵入部位(IRES)が存在し、5′末端に依存せずに翻訳開始を引き起こす。この翻訳開始は、細胞のmRNA上で起こる標準的な翻訳開始に必要な真核生物開始因子(eIF)のうち、一部しか必要としない。HCV様IRESからの翻訳開始は40Sサブユニットとの特異的な結合を基盤としており、この結合によって開始コドンがP部位に入り、そこでeIF2と結合した開始メチオニルtRNAと直接に塩基対を形成し、48Sの開始複合体が形成される。しかし、HCV様IRESはどれも、eIF3とも特異的に結合するが、この結合がIRESを介した翻訳開始にどのような役割を果たしているかはまだ解明されていない。標準的な翻訳開始の際には、eIF3は40Sサブユニットと結合して43S翻訳開始前複合体の成分となるが、eIF3とHCV IRESのリボソームでの位置を比較するとそれらは重なり合っていることが分かった。そのため、両方の成分を含むリボソーム複合体が形成されるには、再編成が必要ということになる。本論文では、eIF3とCSFV IRESを含む40Sリボソーム複合体の低温電子顕微鏡による再構成像を提示する。意外にも、この複合体におけるCSFV IRESと40Sサブユニットの位置と結合は、40SとIRESとの2成分複合体におけるHCV IRESの位置や結合とほぼ同じであるが、eIF3は43S複合体中でのリボソームとの結合位置から完全にずれて、その代わりに、リボソーム結合表面を介してIRESのドメインIIIの頂端領域だけと結合している。これらの結果から、HCV様IRESとeIF3との特異的結合はリボソームとeIF3の結合防止に役立っていると考えられる。この特異的結合の目的は2つ考えられ、1つは40Sサブユニット上の共通の結合部位に対するIRESとeIF3の競争を緩和することであり、もう1つは43S複合体の形成を抑えて、ウイルスmRNAの翻訳の方を起こりやすくすることである。

