Letter
微生物学:DNA複製起点非存在下での増殖の加速
Nature 503, 7477 doi: 10.1038/nature12650
DNA複製は複製起点と呼ばれる決まった部位で始まる。複製起点は複製装置を呼び寄せるイニシエータータンパク質の結合部位として働く。複製起点の数や構造は、3つの生物ドメインでそれぞれ異なり、起点の性質によって染色体複製の動態が決まる。真正細菌といくつかの古細菌が、単一の起点から複製を行うのに対し、ほとんどの古細菌と全ての真核生物は、複数の起点を用いて複製を行う。いくつかのウイルスでは、相同組換えに依存した開始機構が働いている。本研究では、そのような機構が古細菌でも働いていることを示す。我々は大規模塩基配列解読により、高度好塩性古細菌のHaloferax volcaniiにおける複製を解析し、異なる活性を持つ4つの染色体起点を同定した。個々の起点を欠失させると、複製動態が乱れ、増殖が低下した。しかし、全ての起点を欠失した株では、一見したところの異常は見られず、野生型より有意に速く増殖した。複製起点のない細胞は、個々の起点を欠失した系統とは異なり、はっきり区別できる起点からではなく散らばった複数の部位から複製を開始し、リコンビナーゼRadAを絶対的に必要とする。我々の結果から、相同組換えだけでも、細胞全ゲノムの複製を効率的に開始できることが示された。この知見は、複製起点がどういう目的で存在し、これまで進化を遂げてきたのか、という疑問を投げかけるものである。

