免疫:HIV-1は特異的な共因子を引き寄せることで自然免疫による認識を回避する
Nature 503, 7476 doi: 10.1038/nature12769
ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)は、初代培養ヒトマクロファージ中でゲノムRNAを逆転写によって二本鎖DNAにするという、自然免疫パターン認識受容体を活性化させる可能性のある反応を行うにもかかわらず、自然免疫を活性化することなく増殖することができる。もし、HIV-1の脱殻と核移行が正確に協調されていることが自然免疫センサーの回避に重要であるのなら、HIV-1キャプシドとこうした過程を調節していると考えられる宿主因子の間の特異的相互作用を操作してやれば、パターン認識受容体を活性化して、I型インターフェロン(IFN)の分泌を引き起こせると我々は考えた。本論文では、HIV-1キャプシド変異体のN74D[共因子CPSF6(cleavage and polyadenylation specificity factor subunit 6)との相互作用が損なわれている]、あるいはP90A[シクロフィリン(Nup358とCypA)との相互作用が損なわれている]は、初代培養ヒト単球由来マクロファージ中で複製できないことを示す。それは、これらの変異体ウイルスは自然免疫センサーを活性化させ、それがNF-κBやIRF3の核移行や、可溶型I型IFN産生につながり、抗ウイルス状態が誘導されるからである。ショートヘアピンRNA発現によってCPSF6を枯渇させると、野生型のウイルスが自然免疫センサーの活性化とIFN産生を引き起こすようになる。いずれの場合にも、抑制されていた複製は、IFN受容体の阻害によって回復し、これは複製制限へのIFNの関与を示している。IFN産生は、ウイルスの逆転写に依存して起こるが、DNAへの組み込みには依存しておらず、これはウイルスの逆転写産物の1つがHIV-1病原体関連分子パターンを構成していることを示している。さらに、免疫抑制を誘導しないシクロスポリン類似物質を用いて、野生型HIV-1ウイルス感染でIFN分泌や抗ウイルス状態を薬理学的に引き起こせることが分かった。HIV-1は、CPSF6やシクロフィリンを使って自身の複製を覆い隠すように進化し、それによって初代培養ヒトマクロファージで自然免疫センサーや細胞自律的な自然免疫応答の誘導を回避できるようになったと、我々は結論する。

