免疫:ブドウ球菌のδ毒素はマスト細胞の活性化によりアレルギー性皮膚疾患を引き起こす
Nature 503, 7476 doi: 10.1038/nature12655
アトピー性皮膚炎は慢性炎症性皮膚疾患で、先進工業国では小児の15~30%、成人の約5%が罹患している。アトピー性皮膚炎の病因は完全に解明されているわけではないが、この疾患は、皮膚の障壁機能が不全な状況下での異常な免疫グロブリンE免疫応答によって引き起こされる。マスト細胞は、アトピー性皮膚炎などの免疫グロブリンEが仲介するアレルギー性疾患に関わっている。マスト細胞は、活性化されると膜に結合している細胞質顆粒を放出し、これがアトピー性皮膚炎の病因や宿主防御に重要な複数の分子の放出につながる。アトピー性皮膚炎患者の90%以上で、皮膚病変部に黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が定着しているが、健常人の大部分では皮膚にこの病原菌の常在が見られない。ブドウ球菌のいくつかの外毒素は、アトピー性皮膚炎のモデルでスーパー抗原や抗原として機能し得る。しかし、これらのブドウ球菌外毒素がアトピー性皮膚炎の病因に果たす役割は明らかになっていない。本論文では、黄色ブドウ球菌の培養上清には、強力なマスト細胞脱顆粒活性があることを報告する。生化学的解析から、黄色ブドウ球菌によって産生されるマスト細胞脱顆粒誘導因子がδ毒素であることが突き止められた。δ毒素によって誘導されるマスト細胞の脱顆粒は、ホスホイノシチド3-キナーゼおよびカルシウム(Ca2+)流入に依存していたが、免疫グロブリンE架橋によって仲介される場合とは異なり、脾臓チロシンキナーゼは必要でなかった。さらに、免疫グロブリンEは、抗原が存在しない場合に、δ毒素誘導性のマスト細胞脱顆粒を増強した。また、アトピー性皮膚炎患者から得られた黄色ブドウ球菌分離株は、大量のδ毒素を産生した。黄色ブドウ球菌の皮膚定着は、免疫グロブリンEおよびインターロイキン4の産生だけでなく、炎症性皮膚疾患も促進するが、δ毒素を欠損する黄色ブドウ球菌変異株ではこのような現象は見られなかった。加えて、免疫グロブリンE産生の増強およびδ毒素による皮膚炎は、KitW-sh/W-shマスト細胞欠損マウスでは見られなかったが、これらのマウスでマスト細胞を再構築すると再現された。以上の結果は、δ毒素がマスト細胞脱顆粒の強力な誘導因子であることを明らかにし、黄色ブドウ球菌の定着とアレルギー性皮膚疾患の間の機構的関連を示唆している。

