Letter
植物:拮抗的なFLM変異体による温度に依存した花成調節
Nature 503, 7476 doi: 10.1038/nature12633
花成が適切な時期に起こることは植物の繁殖成功に極めて重要である。そのため、糖質やホルモンの状態、光周期、温度など、内在性と環境由来の両方のシグナルを感知・統合するために複雑な遺伝子ネットワークが進化してきたのは当然のことである。春化経路が詳細に解明されているのとは対照的に、周囲の生育温度の変化に応じて花成時期が制御される仕組みについてはほとんど分かっていない。シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)では、花成時期制御の過程にMADSボックス転写因子遺伝子FLOWERING LOCUS M(FLM)およびSHORT VEGETATIVE PHASE(SVP)が重要な役割を担っている。FLMは温度依存性の選択的スプライシングを受ける。本論文では、FLMタンパク質の2つの主要なスプライス変異体FLM-βとFLM-δが、花成抑制因子SVPとの相互作用に関して競合することを明らかにする。SVP–FLM-β複合体は、低温で優先的に形成されて花成の早発を防ぐ。それに対し、競合するSVP–FLM-δ複合体はDNAに結合できず、高温で花成の優性ネガティブ活性化因子として働く。今回の結果は、周囲の温度変化に応じて花成時期を制御する新しい機序を示している。温度が花成の分子機構を制御する仕組みをさらに深く解明することは、現在の全球的気候変動に対処するために重要だと考えられる。

