Letter
生化学:進化したケンプエリミナーゼにおける効率的な触媒反応に必要な精密さ
Nature 503, 7476 doi: 10.1038/nature12623
ライナス・ポーリングは、60年以上前に、酵素を理解し模倣するための概念的枠組みを確立した。酵素が、酵素に結合した基底状態に比べて、触媒反応の律速となる遷移状態を選択的に安定化するという概念によって、酵素設計の問題は分子認識の問題と見なされるようになった。にもかかわらず、例えば遷移状態類似体を用いて触媒活性のある抗体を誘導するような、この概念を利用した過去の試みでは、一般的に本来の酵素反応速度は達成されていない。コンピューター設計法の出現、またこれと指向性進化法を組み合わせることにより、この問題の再検討が可能になった。我々は、ケンプ脱離反応(炭素からのプロトン移動としてよく研究されているモデル反応系)の触媒のコンピューター設計から出発し、素反応を6×108倍に加速するような人工酵素を進化させられることを示す。この効率は、トリオースリン酸イソメラーゼのような高度に最適化された天然酵素が示す圧倒的な効率に迫るものである。この進化させた酵素の1.09 Å分解能の結晶構造から、形の相補性や正確に配置した触媒基のようなよく知られた触媒戦略をうまく取り入れることにより、そのような高効率の加速が可能となることが示唆され、より洗練された触媒の設計について楽観的な展望を抱くことができる。

