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細胞生物学:Arp2/3複合体に対する阻害性シグナル伝達は細胞遊走の方向性を制御する

Nature 503, 7475 doi: 10.1038/nature12611

細胞遊走には、葉状仮足での細胞膜突出を駆動するために、枝分かれしたアクチンフィラメントからなるネットワークの形成が必要である。Arp2/3(actin-related proteins 2 and 3)複合体は、このような枝分かれしたアクチンのネットワークの核形成を行う分子機械である。この機械は、ウィスコット–アルドリッチ症候群タンパク質(WASP)ファミリーのWAVE(WASP-family verprolin-homologous protein;別名SCAR)により遊走細胞の先端で活性化される。WAVE複合体自身は、葉状仮足を誘導する低分子量GTPアーゼRacにより直接活性化される。しかし、細胞が遊走の方向性を制御する仕組みはよく分かっていない。今回我々は、in vitroでArp2/3複合体を阻害する新規なタンパク質のArpinを見いだし、Racシグナル伝達が、WAVEの場合のように、Arpinを葉状仮足の先端に動員し活性化することを示す。これと一致して、阻害的に働くArpinを枯渇させると、葉状仮足の突出が速くなり細胞遊走が促進される。しかし、この阻害性回路の主要な役割は、遊走の方向性維持の制御である。実際、哺乳類細胞と細胞性粘菌キイロタマホコリカビ(Dictyostelium discoideum)のアメーバ型の両方で、Arpinを枯渇させると遊走軌道はより直線的になり、逆に細胞遊走が最も長く持続するシステムである魚類の表皮細胞でArpinをマイクロインジェクションにより注入すると、こうした細胞の方向転換が誘導される。細胞遊走の方向性制御におけるArpinの保存された役割は、Rac–Arpin–Arp2/3阻害性回路とRac–WAVE–Arp2/3活性化回路の共存により説明可能である。

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