Letter

生態:サンゴ動物個体によるDMSP生合成と、それがサンゴの熱ストレス応答に果たす役割

Nature 502, 7473 doi: 10.1038/nature12677

全球的に見て、造礁サンゴはジメチルスルホニオプロピオナート(DMSP)の最大の生産者である。DMSPは、海洋硫黄循環の中心的な分子種の1つであり、また、気候に影響を及ぼすガスであるジメチルスルフィドの前駆体である。現在のところ、サンゴによるDMSP産生は、その内部に共生するSymbiodinium属藻類に専ら起因するとされている。我々は、化学的、ゲノミクス的および分子的な手法を組み合わせて、稚サンゴは共生藻類が存在しなくてもDMSPを産生することを示す。内部共生藻類が存在しない稚サンゴを新しく定着させた場合、DMSPレベルは時間経過につれて最大54%増加した。また、稚サンゴに熱ストレスをかけた場合にはDMSPレベルのさらなる増加(最大76%)が記録された。さらに我々は、DMSP生合成で最近見つかった2つの藻類遺伝子のオルソログがサンゴに存在することを明らかにした。このことから、サンゴがDMSP産生に必要な酵素機構を保有していることが強く示唆される。今回の結果は、光合成生物のみがDMSP供給生物であるという理論的枠組みを覆すものであり、また、世界的なサンゴ分布域の減少に対応して、サンゴが産生するDMSPを介した熱ストレス軽減の可能性も低下するという、二重の危機をはっきりと示している。

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