Letter
地球:南極棚氷の分離フラックスと底面融解速度
Nature 502, 7469 doi: 10.1038/nature12567
氷山の分離は、南極氷床の質量損失の支配的な原因であると考えられており、これまでは分離フラックスは年間2,000ギガトンを超えると見積もられている。最近になって、氷床接地線近傍と分離前線付近における海洋による融解の重要性が立証されてきた。しかし、南極全体に対して、分離フラックスと底面の質量収支(棚氷底面における集積と浸食の収支)の信頼性の高い定量化を行った研究はこれまでない。従って、南大洋における淡水の分布とその液体相と固体相との配分はあまり絞り込まれていない。本論文では、分離フラックスと氷床接地線でのフラックスの人工衛星による測定結果、棚氷の積雪速度の見積もり、探査されていない地域を説明するための地域的なスケーリング則を用いて、南極の全ての棚氷の質量収支の構成要素を見積もる。その結果、年間1,321±144ギガトンという分離フラックスと、年間−1,454±174ギガトンという底面の全質量収支が得られた。このことは、氷床表面における質量増分の約半分は氷崖に達する前に海洋浸食により失われており、氷山の追跡によりこれまでに得られていた見積もりよりも分離フラックスが約34%少ないことを意味している。さらに、底面における過程による質量損失の割合は棚氷間で約10~90%異なっている。表面が低下し流出量が増加している棚氷にでは、底面における質量損失と表面の高度変化にはかなりの正の相関があることが分かった。底面における質量損失は、海洋強制力に対する将来の棚氷の脆弱性を予測する有効な測定基準となることが示唆される。

