免疫:高病原性SIVに感染した場合の免疫によるクリアランス
Nature 502, 7469 doi: 10.1038/nature12519
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)とサル免疫不全ウイルス(SIV)による確立した感染は、最も効果的な免疫応答を伴う場合でさえ、永久的と考えられており、抗レトロウイルス療法はこのような感染を制御することは可能だが、ウイルスを一掃できない。こうした感染を維持する残余ウイルスがクリアランスに対して敏感かどうかは、数百万人のHIV感染者の今後の管理にとって非常に重要な問題である。最近我々は、SIVタンパク質を発現するサル・サイトメガロウイルス(RhCMV/SIV)ベクターを用いてワクチン接種したアカゲザル(Macaca mulatta)のおよそ50%が、病原性の高いSIVmac239株の感染を制御し持続的な無ウイルス状態を示すことを報告した。本論文では、ウイルスを投与した経路にかかわらず、リンパおよび血行へのウイルスの播種が実証された後に、RhCMV/SIVベクターで誘導された免疫応答がSIVmac239を制御すること、また複製能力を持つSIVが数か所で数週間から数か月にわたって存続することを示す。しかし、時間が経つと、防御作用が見られたアカゲザルではSIV感染の兆候が無くなり、血漿もしくは組織に含まれるウイルス量は超高感度測定系によっても測定できないレベルが持続し、ワクチンには含まれないSIV決定基に対するT細胞反応性が消失した。RhCMV/SIVベクターによる防御が見られたアカゲザルについて、RMウイルス投与後69~172週目に行われた剖検で得られた組織の大規模超高感度定量PCRおよび定量RT–PCRによる解析では、バックグラウンドレベル以上のSIV RNAもしくはSIV DNAは検出されず、またこれらのアカゲザルでは、組織の大規模な共培養解析、もしくは6,000万個の血液リンパ系細胞の未処置アカゲザルへの養子移入によっては、複製能を持つSIVが検出されなかった。これらのデータは、病原性レンチウイルス感染が漸進的に排除されることの強力な証拠となり、またレンチウイルスリザーバーの一部は、サイトメガロウイルスベクターによって誘導・維持されるエフェクター記憶T細胞を介した持続的免疫監視に対して感受性を示す可能性を示唆している。

