構造生物学:eagドメインによるKCNHチャネル調節の構造的機構
Nature 501, 7467 doi: 10.1038/nature12487
KCNH電位依存性カリウムチャネル(ether-à-go-go、EAG;EAG関連遺伝子、ERG;EAG様チャネル、ELK)は細胞興奮性の重要な調節因子であり、心臓QT延長症候群2型(LQT2)、てんかん、統合失調症、がんなどの疾患で重要な役割を持つ。KCNHチャネルの細胞内ドメインは、他の電位依存性チャネルとは構造的に異なっている。アミノ末端領域にはPer-Arnt-Sim(PAS)ドメインとPASキャップドメインからなるeagドメインがあるのに対して、カルボキシ末端領域にはC-リンカードメインを介して小孔と連結するcyclic nucleotide-binding homologyドメイン(CNBHD)がある。多数の疾患原因変異が、KCNHチャネルの独特な開閉と調節の基盤となるこれらの特殊化した細胞内ドメインに存在する。eagドメインは、S4–S5リンカーまたはCNBHDのどちらかと相互作用することによりチャネルを調節している可能性が示唆されてきた。今回我々は、マウスEAG1(別名KCNH1)チャネルのeagドメイン–CNBHD複合体の2 Å分解能の結晶構造を報告する。この構造からeagドメインとCNBHDが広範に相互作用することが示され、eagドメインの調節機構にCNBHDが主として関与することが示唆される。EAGチャネルのがんに関連する変異に加えて、ヒトERGの相同位置にある複数のLQT2変異がeagドメイン–CNBHD界面に位置することは注目される。さらに、eagドメイン–CNBHD界面における変異はチャネル開閉に大きな影響を与え、このことはeagドメイン–CNBHD相互作用が重要な生理的役割を持つことを明らかにしている。我々が得たマウスEAG1のeagドメイン–CNBHD複合体の構造から、KCNHチャネルの生理学的、また病態生理学的機構について独特の知見がもたらされた。

