遺伝学:異数性HeLaがん細胞株のハプロタイプが分解されたゲノムおよびエピゲノム
Nature 500, 7461 doi: 10.1038/nature12064
HeLa細胞株は、Henrietta Lacksという患者の子宮頸がん細胞から1951年に樹立された。これは、in vitroでヒト由来細胞を不死化した最初の成功例であった。HeLa細胞は、ロバストな増殖を示し、また制限なく分配された結果、(意図的および広範な相互汚染の両方によって)広く利用されており、過去60年間モデル生物に似た役割を担ってきた。HeLa細胞株が研究に与えてきた累積的な影響は、74,000報以上のPubMed要約(約0.3%)にHela細胞の記述が見られることで実証されている。HeLaのゲノム構造は、核型以外にほとんど解明されていないが、その理由の1つは、多くのがんと同じく、HeLaの高度な異数性によりそのような解析が困難になっていることである。我々は、HeLa CCL-2株のハプロタイプ分解的な全ゲノム塩基配列解読を行い、点変異および挿入欠失変異の変動の検討、コピー数変動およびヘテロ接合性領域の消失のマッピング、染色体腕全体にわたる変異のフェージングを行った。我々はまた、HeLa S3株に新たな8株を加えて、それらの変異とコピー数のプロファイルを調べた。HeLaは、点変異については比較的安定であり、早期の継代後にはほとんど新しい変異が蓄積していないことが分かった。ハプロタイプ分解により、染色体8q24.21の増幅された、高度な再編成が見られる領域の再構築が容易になった。この領域では、ヒトパピローマウイルス18型(HPV-18)ゲノムの挿入が起こっており、これが腫瘍形成を引き起こした事象であるらしい。我々は、これらのマップとRNA-seqおよびENCODEプロジェクトのデータセットを統合し、HeLaエピゲノムのフェージングを行った。これにより、がん原遺伝子MYCの約500キロベース上流に挿入されたHPV-18ゲノムによるMYCの強力なハプロタイプ特異的活性化が明らかになり、遺伝子量と発現との関係の包括的解析が可能になった。これらのデータは、HeLaを用いた過去および今後の実験に、広範囲にわたってフェージングされた高品質の参照ゲノムを提供しており、がんのゲノムおよびエピゲノムの特徴を明らかにする際にハプロタイプの分解が非常に役立つことを実証している。

