免疫:誘導性の塩感知キナーゼSGK1による病原性TH17細胞の誘導
Nature 496, 7446 doi: 10.1038/nature11984
TH17細胞[インターロイキン17(IL-17)産生ヘルパーT細胞]は、炎症促進性が非常に高く、細胞外病原体の除去や多数の自己免疫疾患の誘導に重要である。IL-23は、IL-23受容体(IL-23R)の発現上昇およびTH17細胞への病原性エフェクター機能の付与によって、TH17表現型の安定化および増強に重要な役割を担っている。しかし、IL-23がTH17応答を持続させ、病原性エフェクター機能を誘導する分子機構の詳細は解明されていない。本論文では、分化中のTH17細胞の転写プロファイリングを使ってそのシグナル伝達ネットワークのモデルを構築し、TH17細胞の分化を調節するノード(ネットワーク中の主要な接続点)を突き止めた。セリン/トレオニンキナーゼであるSGK1(serum glucocorticoid kinase 1)がIL-23シグナル伝達の下流にある重要なノードであることがわかった。SGK1は、IL-23R発現の直接の抑制因子であるマウスFoxo1の不活性化によるIL-23R発現調節およびTH17細胞表現型の安定化に重要である。またSGK1は、別種の細胞ではNa+輸送および塩(NaCl)恒常性を制御していることが示されている。今回我々は、塩濃度の中程度の上昇が、SGK1発現の誘導、IL-23R発現の促進、in vitroおよびin vivoでのTH17細胞分化の促進を引き起こし、自己免疫の出現を加速することを示す。SGK1が存在しないと、Na+が仲介するTH17細胞分化がIL-23に依存して停止する。これらのデータは、SGK1が病原性TH17細胞の誘導に重要な役割を担っていることを実証しており、また、塩濃度の高い食餌などの環境要因がTH17細胞の分化を引き起こし、組織炎症を促進する機構を解明する分子レベルでの手がかりとなる。

