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構造生物学:キヌレニン 3-モノオキシゲナーゼ阻害の構造基盤
Nature 496, 7445 doi: 10.1038/nature12039
真核生物のトリプトファン異化経路(キヌレニン経路)の酵素であるキヌレニン 3-モノオキシゲナーゼ(KMO)の阻害は、酵母、ショウジョウバエ、マウスモデルのハンチントン病関連表現型の改善につながり、アルツハイマー病のマウスモデルでも同様の影響が見られる。KMOはフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)依存性モノオキシゲナーゼでミトコンドリア外膜に存在し、L-キヌレニンを3-ヒドロキシキヌレニンに変換する。キヌレニン経路の代謝産物の量の変動は、さまざまな脳疾患だけでなく、がんやいくつかの末梢性炎症性疾患にも関係するとされている。だが、神経変性疾患の標的としてのKMOの重要性にもかかわらず、既知の重要なリード化合物によるKMO阻害の分子基盤についてはまだ解明がなされていない。本論文では、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)のKMOの結晶構造を、遊離状態、強く結合する阻害剤UPF 648と複合体を形成した状態で、初めて明らかにする。UPF 648は、補因子FADのすぐ近くに結合して活性部位の局所構造を変化させ、基質であるL-キヌレニンの適正な結合を妨げる。機能解析と標的突然変異導入により、活性部位の構造やUPF 648の結合がヒトKMOでも本質的には同じであることが明らかになり、酵母のKMO–UPF 648の構造が構造に基づく薬剤設計のモデルとして適切であることが確かめられた。この結果は、ハンチントン病、アルツハイマー病、パーキンソン病のような神経変性疾患の標的療法のための、血液脳関門を通過できる新しいKMO阻害剤の開発に役立つ情報となるだろう。

