Letter
環境科学:蒸散が大半を占める地球の水フラックス
Nature 496, 7445 doi: 10.1038/nature11983
大陸の再生可能な淡水は、降水によって流入し、蒸発や蒸散によって大気へ失われていく。気候モデルから得られた全球規模での蒸散量は、気孔コンダクタンスの不確かさが大きく、モデルの更正に必要な流域スケールでの測定が不足しているため、あまり絞り込まれておらず、陸域の全蒸発散量(年間14,000〜41,000 km3)のうちの20〜65%の範囲と見積もられている。本論文では、蒸散と蒸発の異なる同位体効果を用いて、地球上の大陸からの水フラックスのうちで蒸散が群を抜いて大きく、陸域の蒸発散量の80〜90%を占めることを示す。大きな湖と河川の全球データセットの解析を基に、蒸散は、年間62,000±8,000 km3の水を大気中へ再循環させており、その過程で地表面に吸収される全太陽エネルギーの半分が使われていると推定される。さらに我々は、植物の水利用効率比を用いて、蒸散量と炭素同化を結び付けることで、陸域の植生によるCO2の吸収も計算し、全球の総一次生産力が年間129±32ギガトン炭素となり、不確かさの範囲内で以前の見積もりと一致することを示す。大陸の蒸発散において蒸散の水フラックスが大半を占めていることは、水資源の予測という観点からすると、気候モデルの開発では物理的フラックス(蒸発)ではなく、生物的フラックスのシミュレーションの改善が優先されるべきであることを示唆している。

