分子生物学:マイクロRNAスポンジとして効率よく機能する天然の環状RNA
Nature 495, 7441 doi: 10.1038/nature11993
マイクロRNA(miRNA)は、遺伝子発現を転写後に調節する重要な調節因子であり、メッセンジャーRNAの非翻訳領域内にある標的部位と直接的に塩基対形成することによって作用する。最近、miRNAの活性には、miRNAスポンジ転写産物の存在が影響することが明らかになった。miRNAスポンジとは、ヒトではいわゆる競合内在性RNA、植物ではmiRNAの標的を模倣するRNAのことである。我々は以前に、ヒトとマウスの脳で高度に発現されている環状RNA(circRNA)を同定した。本論文では、このcircRNAがmiR-7のスポンジとして作用することを明らかにする。我々はこの環状転写産物を、ciRS-7(circular RNA sponge for miR-7)と名付けた。ciRS-7には、選択的に保存されたmiRNA標的部位が70以上も含まれ、Argonaute(AGO)タンパク質がmiR-7依存的に広範囲にわたって高い確率で結合している。circRNAは、miRNAを介した標的の不安定化に対して完全な抵抗性を示すが、miR-7の活性を強く抑制するため、miR-7標的のレベルを上昇させる。マウスの脳では、特に新皮質ニューロンと海馬ニューロンでciRS-7とmiR-7のオーバーラップした共発現が見られ、内因性の相互作用が高度に起こっていると考えられる。さらに、精巣特異的circRNAであるSry(sex-determining region Y)がmiR-138のスポンジとして作用することも明らかになった。このことから、circRNA形成によって得られるmiRNAスポンジ効果は一般的な現象であると考えられる。今回の結果は、天然に発現されるcircRNAの機能を解析した、我々の知るかぎりで初めての例である。

