医学:非典型的プロテインキナーゼC ι/λによるGLIの活性化が、基底細胞がんの成長を調節する
Nature 494, 7438 doi: 10.1038/nature11889
基底細胞がん(BCC)の成長には、転写因子GLIを介した高レベルのHH (hedgehog)シグナル伝達が必要である。膜タンパク質SMO(smoothened)の阻害剤は効果的にHHシグナル伝達を抑制するが、早期に腫瘍耐性が生じるため、治療には下流にあるまた別の標的が必要となることは明らかである。本研究では、非典型的プロテインキナーゼC ι/λ(aPKC-ι/λ)が、哺乳類におけるGLIの新規調節因子であることを明らかにする。aPKC-ι/λとその極性シグナル伝達のパートナーは、中心体に共局在し、HHシグナル伝達を増強する足場タンパク質であるMIM(missing-in-metastasis)と複合体を形成する。遺伝学的あるいは薬理学的にaPKC-ι/λの機能を低下させると、HHシグナル伝達とBCC細胞の増殖が阻害される。PrkciはHHの標的遺伝子であり、GLIと正のフィードバックループを形成し、BCCではその量が増加している。全ゲノム転写プロファイリングから、aPKC-ι/λおよびSMOが、腫瘍細胞で同様な遺伝子の発現を制御していることが明らかになった。aPKC-ι/λはSMOの下流で機能して、GLI1をリン酸化して活性化し、その結果、そのDNA結合と転写活性化が最大になる。活性型aPKC-ι/λはSMO阻害剤耐性腫瘍で上方制御されており、aPKC-ι/λのターゲティングによりシグナル伝達と耐性BCC細胞株の成長が抑制される。以上の結果は、aPKC-ι/λは、HH依存的過程に非常に重要であり、aPKC-ι/λは、SMO阻害剤耐性がんの治療における新たな腫瘍選択的な治療標的となると考えられることを実証している。

