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医学:APOBEC3Bは乳がんでの変異源酵素である
Nature 494, 7437 doi: 10.1038/nature11881
がんの発生には複数の変異が必要であり、ゲノム塩基配列解読によって、乳がんなどの多くのがんで、CからTへの塩基転位を主とする体細胞変異スペクトルが見られることが明らかにされている。これらの変異のほとんどは、ゲノム全体にわたって、加水分解を受けにくいメチル化されていないシトシンに起こり、クラスターになっていることもある。本研究では、DNAシトシンデアミナーゼAPOBEC3Bが、おそらくこれらの変異の原因と考えられることを示す。APOBEC3BのメッセンジャーRNAは、多くの原発性乳房腫瘍や、乳がんの細胞株で上方制御されている。APOBEC3Bを高レベルで発現する腫瘍は、低レベルのものに比べ2倍多くの変異を持ち、TP53の変異がより起こりやすい。内在性のAPOBEC3Bタンパク質は主に核に存在し、乳がん細胞株抽出物中でDNAのCからUへの編集活性を持つ検出可能な唯一の変異源である。ノックダウン実験では、内在性APOBEC3Bが、ゲノム中のウラシル量の増加、変異頻度の増加、CからTへの塩基転位と関連していることが示された。さらに、APOBEC3Bを過剰発現させると、細胞周期の逸脱、細胞死、DNA断片化、γ-H2AXの蓄積、CからTへの塩基転位変異が起こる。今回の結果は、APOBEC3Bが触媒する脱アミノ反応が、乳がんで慢性的なDNA損傷引き起こし、それはTP53の不活性化の選択につながる場合があるというモデルを示唆しており、一部の腫瘍が急速に進化して不均質性を示す仕組みを説明している。

