Letter
細胞:Wntが促進する再生によって誘導される単一のLgr5+肝幹細胞のin vitroでの増殖
Nature 494, 7436 doi: 10.1038/nature11826
Wntの標的遺伝子であるLgr5(leucine-rich-repeat-containing G-protein-coupled receptor 5)は、小腸や結腸、胃および毛包などの、Wntが自己複製を促進する組織において活発に分裂している幹細胞のマーカーである。三次元培養系で、単一のLgr5+幹細胞の長期間クローン性増殖により、その起源となる上皮構造の多くの特徴を保持した、移植可能なオルガノイド(出芽嚢胞)を得ることができる。培地の重要な成分は、WntアゴニストのRSPO1(最近発見されたLGR5のリガンド)である。本論文では、Lgr5-lacZは健康な成体マウスの肝臓には発現していないが、損傷により、Wntシグナル伝達がロバストに活性化し、小さなLgr5-LacZ+細胞が胆管近傍に出現することを示す。新しいLgr5-IRES-creERT2ノックインマウスでの細胞系譜追跡実験により、損傷で誘導されるLgr5+細胞からin vivoで肝細胞および胆管を生じることがわかった。損傷を受けたマウス肝臓に由来する単一のLgr5+細胞は、数か月にわたってRspo1を基盤とする培地でオルガノイドとしてクローン性増殖を行うことができる。このようなクローン性オルガノイドは、in vitroでの分化誘導が可能で、また、Fah−/−マウスへの移植により機能的な肝細胞にすることができる。これらの知見は、活発に自己複製する組織のLgr5+幹細胞についてのこれまでの観察は、自発的な増殖率が低い組織で損傷によって誘導される幹細胞にも拡大できることを示している。

