Letter

遺伝:ヒアリではY染色体に似た社会性染色体が異なるコロニー構成を生じさせる

Nature 493, 7434 doi: 10.1038/nature11832

同じ種内で社会構成が異なることはよくあるが、その根本的原因がわかっている例はきわめて少ない。ヒアリ(Solenopsis invicta)では社会構成に2つの異なる型が存在し、どちらになるかはメンデル遺伝する1個のゲノム要素によって制御されている。このゲノム要素は、1個のにおい物質結合タンパク質遺伝子に2種類の変異体を持つことを特徴とする。今回我々は、この重要な社会性多型に関与するゲノム領域の特性を解折し、この領域が、性染色体の基本的特性を多数持つ一対の異形染色体の一部であることを明らかにした。この2種類の変異体[これ以降は社会性B(SB)染色体、社会性b(Sb)染色体と呼ぶ]の特徴は、SBとSbの間の組換えが完全に抑制された約13メガ塩基もの大きな領域(この異形染色体の55%)を含むことである。組換えはSB染色体間では正常に起こるようだが、Sb/Sbの個体は生存不能なので、Sb染色体間では正常には起こらないらしい。ゲノムの比較からSBとSbの違いは限定的であり、組換えの起こらない領域で見つかった616個の遺伝子の大半は、2種類の変異体の両方に存在することがわかった。この2つの異形社会性染色体の半分を超える領域で組換えが起こらないのは、約9メガ塩基の大きな逆位が少なくとも1か所あることで説明できる。また、組換えが起こらないために、Sbのこの非組換え領域には、SBの相同領域に比べて反復配列などの有害な変異が蓄積している。重要なのは、この2種類の社会形態に属する個体の間で発現に違いが見られる遺伝子の大半が、この非組換え領域内に存在することである。これらの知見は、ゲノム再配列に際して局所的な組換えが制限されることで、一緒に作用する多数の遺伝子がかかわる適応的な社会性表現型の違いが維持される仕組みを明らかにしている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度