Letter

細胞:p53とリンゴ酸酵素による相反的な調節が代謝と老化を調節する

Nature 493, 7434 doi: 10.1038/nature11776

細胞老化は、多細胞生物をがんから保護するとともにその加齢に関与している。強力な腫瘍抑制因子p53は、老化の誘導と維持に重要な役割を持つが、p53がこの作用を示す仕組みはよくわかっていない。さらに、代謝の変化が多くの細胞の運命決定やp53介在性腫瘍抑制の基盤であることを裏付ける根拠が集まっているが、代謝酵素と老化との関係はほとんどわかっていない。今回我々は、p53によってこれらの機能が結びつけられた、新たな機構を明らかにする。p53は、ヒトおよびマウスの細胞でトリカルボン酸回路関連のリンゴ酸酵素ME1とME2の発現を抑制することがわかった。どちらのリンゴ酸酵素も、NADPH産生、脂質合成およびグルタミン代謝に重要であるが、より強い作用をもたらすのはME2である。p53は、リンゴ酸酵素の抑制を介して細胞代謝と増殖を調節する。ME1とME2の発現低下は、MDM2活性化プロテインキナーゼおよびAMP活性化プロテインキナーゼが介在する別個の機序によってフィードフォワード様式でp53を相反的に活性化し、この経路を強化してp53活性化を増強する。ME1とME2の発現低下はまた、p53活性化の結果を修飾し、老化を強く誘導するが、アポトーシスは引き起こさない。その一方で、いずれかのリンゴ酸酵素を強制発現させると老化が抑制される。以上の結果から、リンゴ酸酵素の生理的機能が明確になり、p53の活性化を維持するための正のフィードバック機構が示され、p53によって仲介される代謝と老化の関係が明らかになった。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度