細胞:Rag GTPアーゼによるmTORC1の調節は新生仔のオートファジーと生存に必要である
Nature 493, 7434 doi: 10.1038/nature11745
mTORC1(mechanistic target of rapamycin complex 1)経路は、栄養や成長因子などのさまざまな環境要因に応答して個体の成長を調節する。細胞を用いた研究により、mTORC1がRagA–DファミリーのGTPアーゼ(別名RRAGA、RRAGB、RRAGC、RRAGD)を介してアミノ酸を感知することが報告されているが、哺乳類における生理学的重要性は不明である。本研究では、自身の内在性プロモーターから構成的活性型RagA(RagAGTP)を発現するノックインマウスを作製した。RagAGTP/GTPマウスは正常に発生するが、出生後1日で死亡する。帝王切開による出産では、RagAGTP/GTP新生仔を絶食させると、野生型の同腹個体よりも2倍早く死亡した。野生型の新生仔では、出生後1時間以内にmTORC1が強く抑制され、同時に重度の低血糖と血中アミノ酸濃度の低下が起こる。対照的に、RagAGTP/GTP新生仔では同様に血中栄養量が減少するにもかかわらず、mTORC1の抑制が起こらない。絶食を延長すると、野生型新生仔では血中グルコース濃度が回復したが、RagAGTP/GTPマウスはグリコーゲンをより速く消費するにもかかわらず、低血糖のまま死亡した。このグルコースの恒常性異常は、絶食状態のRagAGTP/GTP新生仔が、オートファジーを誘導してde novoグルコース産生のためのアミノ酸産生を行えないことと関連している。RagAGTP/GTP新生仔における重度の低血糖はmTORC1を抑制しないことから、アミノ酸充足度と同様に、グルコースについてもRag経路がmTORC1にシグナルを伝えている可能性があるかどうかを検討した。実際、RagAGTP/GTPの繊維芽細胞でmTORC1はグルコース欠乏に耐性を示し、グルコースはアミノ酸と同様に、mTORC1活性化部位であるリソソーム表面へのmTORC1の動員を制御する。したがって、Rag GTPアーゼは、mTORC1にグルコースやアミノ酸の濃度についてのシグナルを出し、オートファジー誘導や、ひいては栄養恒常性や生存に関しても、新生仔で予想外に重要な役割を担っていると言える。

