Letter

地球:地球上部マントルにおける二酸化炭素に富むケイ酸塩メルト

Nature 493, 7431 doi: 10.1038/nature11731

地球上部マントルの融解の開始は、地球の熱的進化、外気圏への重要な揮発性物質の流出、マントルの地球化学的性質と地球物理学的性質に影響を及ぼす。カーボナタイトメルトは大洋中央海嶺下250 km以浅では安定である可能性があるが、ごく少量(約0.03 wt%)であるため、マントルの性質に対するその影響はよくわかっていない。地球物理学的測定から、より大きな体積のメルトが深さ約200 kmに存在する可能性があることが示唆されているが、大部分のメルトはより浅部に限られると考えられている。本論文では、2〜5 GPaにおける炭酸塩カンラン岩の実験を示し、マントル中のケイ酸塩融解開始の位置と勾配を絞り込む。炭酸塩ケイ酸塩融解に対する圧力温度勾配は、揮発性物質を含まないカンラン岩の固相線より急であり、海嶺下のCO2を含む乾燥したカンラン岩のケイ酸塩融解は約180 kmで始まることが分かった。50〜200 ppmのH2Oが凝固点降下に与える影響を考慮すると、約100 ppmのCO2を含む海嶺下マントルのケイ酸塩融解が始まる深さは、約220〜300 km程度になる。全球規模では、深さ約250〜200 kmの酸化還元フロントにおける炭酸塩ケイ酸塩メルトの生成は、上昇するマントル中における金属とメジャーライトの不安定化と合わせて、海洋の低速度層とマントルの電気伝導度構造を説明できる。局所的に酸化された領域では、深部の炭酸塩ケイ酸塩メルトは地震学的X不連続面に寄与する可能性がある。さらにこの結果は、溶けた炭酸塩カンラン岩と海洋上部マントルの電気伝導度とともに、深部マントルはCO2に富んでいるがH2Oはあまり含まないことを示している。最後に、炭酸塩ケイ酸塩メルトは地球の上部マントル深部におけるカーボナタイトの安定性に制約を与え、海嶺における炭素、H2O、ほかの液相濃集元素の量は前者の流量により制御されることになる。

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