遺伝:6,515例のエキソーム分析から、ヒトのタンパク質コード領域にある変異の大部分は起源が比較的新しいことが明らかになった
Nature 493, 7431 doi: 10.1038/nature11690
現在のヒト集団で分布の分かれている変異について、それぞれが生じた年代を確定することは、人類の進化の歴史を完全に理解するために重要であり、また、疾患遺伝子を発見する新しい方法の開発の促進にも役立つ。ヒトの遺伝的多様性の大規模調査では、最近起こった人口の爆発的増加の特徴が報告されており、まれな遺伝的変異が過剰に見られる点が目立つことから、多くの変異は最近になって生じたものと考えられる。変異の生じた年代の分布をより定量的に評価するために、我々は、欧州系アメリカ人とアフリカ系アメリカ人の6,515人で15,336個の遺伝子の塩基配列を再解読し、常染色体の一塩基変異(SNV)1,146,401個が生じた年代を推論した。タンパク質コード領域にあるSNVでは全体の約73%、有害と推測されるSNVでは約86%が、過去5000〜1万年以内に生じたものと推定された。有害なSNVの生じた平均年代は分子経路によってさまざまに異なり、疾患遺伝子にはほかの遺伝子に比べ、最近生じた有害なSNVが有意に高い比率で含まれていた。さらに、欧州系アメリカ人はアフリカ系アメリカ人に比べると、必須遺伝子やメンデル型疾患の遺伝子に有害な変異を過剰に含んでいた。このことは、アフリカからの分散が原因で純化選択が弱いこととよく一致する。これらの結果によって、ヒトのタンパク質コード領域変異の歴史がより細かく区切られることになり、また、ヒトの最近の歴史が、現在の複数のヒト集団に分かれて分布する有害なSNVによる負荷に大きな影響を及ぼしたことが明らかになる。またこれらの結果からは、疾患遺伝子を見つける際に変異に優先順位をつけるのに使える重要な実用的情報も得られるだろう。

