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遺伝:長鎖非コードRNA TINCRによる体細胞組織分化の制御

Nature 493, 7431 doi: 10.1038/nature11661

数千種類に及ぶヒトの長鎖非コードRNA(lncRNA)のうち、いくつかについてはその機能が明らかにされているが、体細胞組織分化でlncRNAがどんな役割を持つかについては、まだほとんどわかっていない。本研究では、3.7キロ塩基のlncRNAであるTINCR (terminal differentiation-induced ncRNA)が、転写後機構によってヒトの上皮分化を制御することを示す。TINCRは主要な分化遺伝子のメッセンジャーRNA(mRNA)量を増やすのに必要で、FLGLORALOXE3ALOX12BABCA12CASP14ELOVL3などの、そうした遺伝子の多くはヒトの皮膚疾患で変異している。TINCRを欠失した上皮では、最終分化した超微細構造であるケラトヒアリン顆粒や、層板小体の完全性などが失われていた。ゲノム規模でのRNAインタラクトーム解析から、TINCRは一連の分化遺伝子mRNAと相互作用することがわかった。TINCRとmRNAの相互作用は、25塩基の「TINCRボックス」モチーフを介して起こる。TINCRボックスは相互作用するmRNAに多く含まれ、TINCRの結合に必要である。ハイスループットスクリーニングにより、約9,400個のヒト組み換えタンパク質に対してTINCR結合能を解析したところ、TINCR RNAがSTAU1(staufen1)タンパク質と直接結合することが明らかになった。STAU1を欠失した組織は、TINCRの欠失で見られる分化異常を再現した。しかし、STAU1を介したRNA分解に必要なUPF1UPF2を欠失させても、分化への影響はなかった。TINCR–STAU1複合体は、KRT80のような分化遺伝子mRNAの安定性にかかわっているらしい。これらの結果から、TINCRは体細胞組織の分化に必要とされる主要なlncRNAであり、体細胞組織の分化はlncRNAが分化遺伝子mRNAに結合して、その発現を確実にすることによって起こることが明らかになった。

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