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細胞:ミトコンドリアのAtpif1は発生中の赤芽球でヘム合成を調節する

Nature 491, 7425 doi: 10.1038/nature11536

ヘム基質の供給やヘム生合成の終末酵素であるフェロケラターゼ(Fech)の触媒活性に異常があると、ヘムの生合成がうまく起こらなくなり、ヒト先天性貧血の原因となる。ミトコンドリアの恒常性調節因子とヘム合成を担う酵素の機能面での相互依存については、ほとんど何もわかっていない。これについて調べるため、ゼブラフィッシュの遺伝子スクリーニングを行い、重度の貧血が見られるゼブラフィッシュ変異体pinotagepnt tq209)から、ミトコンドリアのatpif1ATPase inhibitory factor 1)をクローニングした。本論文では、Atpif1が脊椎動物Fechのヘム合成の触媒効率を調節する直接的機構について報告する。ゼブラフィッシュ、マウス、ヒトの造血モデルでは、Atpif1を喪失すると、Fech活性の低下とミトコンドリアのpH上昇が起こり、その結果、ヘモグロビン合成が阻害される。ミトコンドリアのpH、酸化還元電位、[2Fe–2S]クラスターとFech活性の関係を解明するため、pntで[2Fe–2S]クラスターを持つFech、持たないFechに加えて、ミトコンドリアのpHや酸化還元電位を変化させる薬剤を用いる遺伝的相補性実験を行った。[2Fe–2S]が存在すると、脊椎動物のFechは、Atpif1が調節しているミトコンドリアのpHおよび酸化還元電位の変化の影響を受けやすくなる。したがって、Atpif1が欠失すると、脊椎動物Fechのヘム合成効率は低下し、貧血につながる。ミトコンドリアのAtpif1がヘム合成の調節因子と同定されたことで、ミトコンドリアのヘムの恒常性や赤血球の発生を調節する機構についての解明が進んだ。ATPIF1の欠失は、先天性鉄芽球性貧血やミトコンドリア病などといったヒトの重要な疾患にもかかわっている可能性がある。

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