Letter
量子情報科学:量子ドットスピンと単一光子とのエンタングルメントの観察
Nature 491, 7424 doi: 10.1038/nature11573
エンタングルメントは量子力学の基礎的な検証だけでなく、急成長している量子情報処理分野においても中心的役割を果たしている。特に量子ネットワークや量子通信との関係における主な難題は、静止した量子ビット(スピン)と伝搬する量子ビット(光子)との間で、効率よくエンタングルメントを生成することである。本論文では、半導体量子ドットスピンと伝搬する光子の色との間で、量子エンタングルメントを観察した結果を報告する。このエンタングルメントは、高速の単一光子検出によって光子を赤と青の周波数成分の重ね合わせへと射影することで検証される。我々の結果は、これまで捕獲イオン、中性原子、NV中心において実証されてきた単一スピン/単一光子エンタングルメントを、半導体ナノ構造中の人工原子の領域へ拡張するものである。この半導体ナノ構造を用いることで、電子と光子の要素をオンチップへ集積することが可能となる。高速の光学遷移と有利な選択則の結果として、我々が実現したスキームでは、究極的にはその高速の自然放出レートで決まる速度で、ほぼ決定論的にエンタングルしたスピン・光子対を発生させることが原理的に可能である。我々の観察結果は、通信ノードが半導体スピン量子ビットで構成された量子ネットワークの実現に向けた第一歩となる。

