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医学:広範囲にわたる中和活性を持つインフルエンザ抗体開発のための構造的および遺伝学的基盤

Nature 489, 7417 doi: 10.1038/nature11371

インフルエンザウイルスは、季節性ワクチンによる封じ込めの努力にもかかわらず、毎年多数の人命を奪っている。このウイルスは中和に抵抗性を示す変異株を進化させてヒトの免疫を回避している。インフルエンザ赤血球凝集素(HA)タンパク質中の変化の生じない構造を認識する抗体が見つかったことは、汎用インフルエンザワクチン開発への取り組みを活気付けた。特に、よく保存されているHAステム領域に対する抗体は、多様な亜型ウイルスを中和する。このような抗体の大部分は、祖先生殖細胞系列型から限定的な親和性成熟を起こした後の重鎖可変領域IGHV1-69という特異的な抗体遺伝子に由来しているが、HAがナイーブB細胞を刺激して成熟させ、防御免疫を誘導する仕組みは知られていない。我々はこの問題に取り組むために、このような抗体の会合と広範囲中和抗体への成熟の構造的および遺伝的基盤の解析を行った。本論文では、これらの抗体の生殖細胞系列にコードされた前駆体が、機能的B細胞抗原受容体(BCR)として働いて、その後の親和性成熟を開始させることを示す。原型的な抗体であるCR6261、およびほかの2つの天然ヒトIGHV1-69抗体の生殖細胞系列型前駆体はどれも、可溶性免疫グロブリンG(IgG)としてHAに結合することがなかった。しかし、3つのIGHV1-69前駆体すべてが、抗体が細胞表面IgMとして発現された場合にはHAと会合した。HAは、生殖細胞系列型の膜貫通IgMによるBCR関連チロシンキナーゼシグナル伝達を誘導した。認識とウイルス中和はもっぱら重鎖に依存し、またCR6261の親和性成熟においては、相補性決定領域(CDR)H1およびフレームワーク領域3(FR3)中にある7個のアミノ酸のみが、完全な活性回復に必要だった。これらの知見は、インフルエンザに対する広範囲中和抗体の生成につながる初期過程についての手がかりとなり、このような抗体を誘導するワクチンの合理的設計に関する情報を与え、またヒト免疫不全ウイルス/AIDSなどのほかの感染性疾患にも関係するモデルを提供する。さらにこのデータは、選択された免疫グロブリン遺伝子が、特異的なタンパク質構造「パターン」を認識し、これが親和性成熟をさらに進めるための基盤となることを示唆している。

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