Letter 医学:大腸がんでの分子標的薬によるEGFR遮断に対する獲得耐性の分子進化 2012年6月28日 Nature 486, 7404 doi: 10.1038/nature11219 KRASが野生型である大腸腫瘍はEGFR遮断に感受性を示すことが多いが、ほとんどの場合、治療開始後数か月以内に耐性が生じる。抗EGFR抗体に対するこのような獲得耐性の原因となる機構はほとんど知られていない。この状況は、ABL、EGFR、BRAFおよびMEKの阻害剤などの小分子標的薬の状況とは大きく異なっている。小分子標的薬の場合は、タンパク質標的をコードする遺伝子の変異が、腫瘍にこれらの薬剤の効果に対する耐性を付与する。EGFR遮断に対する耐性発現を説明する最も単純な仮説は、見かけ上KRAS遺伝子が野生型の腫瘍には、KRAS変異を持つまれな細胞が低レベルで元から存在するというものである。この仮説は容易に検討できるように思えるが、前臨床モデルでも、また、患者のデータでも、この仮説を裏付ける証拠はない。我々は、この仮説を検討するために、パニツムマブ(治療用の抗EGFR抗体)単剤療法を受けている28人の患者の循環血液から変異型KRAS DNAが検出できるかどうかを調べた。その結果、治療開始前に腫瘍のKRASが野生型であった患者24人のうち9人(38%)の血清中にKRAS変異を検出できるようになっており、また、そのうちの3人には複数の異なるKRAS変異が生じていることがわかった。これらの変異の出現は非常に一貫性があり、一般的に、治療開始後5〜6か月の間に出現した。数学的モデル化により、パニツムマブ治療開始前の増殖サブクローンに変異が存在することが示された。これらの結果は、KRAS変異の出現がEGFR遮断に対する獲得耐性の仲介因子であること、また、これらの変異は非侵襲的手法で検出できることを示唆している。このことから、固形腫瘍に非常に高い再現性をもって標的療法に対する耐性が生じる理由が説明できる。 Full Text PDF 目次へ戻る