Letter 考古:紀元前5千年紀にアフリカの「緑のサハラ」で行われていた酪農についての最初の証拠 2012年6月21日 Nature 486, 7403 doi: 10.1038/nature11186 新石器時代のヨーロッパおよびユーラシアとは対照的に、完新世アフリカ北部の先史時代の緑のサハラでは、栽培化した植物や定住村落の農耕共同体の存在を示す最古の証拠のはるか以前に、安定な広く普及した生活様式として、ウシ、ヒツジ、およびヤギへの依存が出現した。この地域で広く見つかっている鮮やかな岩絵には、古代サハラの牧畜集団によるウシ飼いのようすが描かれており、その中には搾乳風景もまれに見られるが、これらの絵の年代を正確に特定できることはめったにない。ウシなどの家畜の重要性は動物相の証拠によってさらに確証されるが、ウシの骨はほとんど見つかっていないため、屠畜のパターンから群れの構造を確認することはできず、酪農が実際に行われていたかどうかを判断することはできなかった。陶器の製作は古くにアフリカ北部で開始されているため、それらに吸着した食物残渣の分子および同位体分析によって、食生活や自給自足の状況を調べることができる可能性がある。この方法を使って、酪農が近東の「肥沃な三日月地帯」に始まってヨーロッパ全土に広がった年代配列を明らかにすることがすでに成功している。本論文では、乳脂肪の主要なアルカン酸のδ13CおよびΔ13C値に基づき、紀元前5千年紀という先史時代のアフリカ・サハラ地方にいた人類が酪農の手法を取り入れていたという初めての明白な化学的証拠を示す。データのこのような解釈は、アフリカから収集された現代の反芻動物性脂肪の新しいデータベースによって裏付けられる。今回の知見により、サハラ地方の初期の牧畜で牛乳などの「生涯生産物(lifetime product)」が重要であったことが確認されるとともに、アフリカでのラクターゼ持続性の出現に関する進化的状況が明らかになった。 Full Text PDF 目次へ戻る