Article 医学:乳房腫瘍2,000症例のゲノムおよびトランスクリプトームの構造から明らかになった複数の新規サブグループ 2012年6月21日 Nature 486, 7403 doi: 10.1038/nature10983 乳がんのサブグループとそれらの発生を引き起こす分子的要因の解明には、相当数の患者に由来するゲノムとトランスクリプトームを統合的に見ることが必要である。本論文では、長期的に臨床経過観察した原発性乳房腫瘍の997検体からなる発見セットおよび995検体からなる検証セットの、コピー数および遺伝子発現を統合して解析した結果を示す。遺伝的多型(コピー数多型および一塩基多型)および後天性の体細胞性コピー数異常(CNA)は、約40%の遺伝子の発現との関連性が認められ、その全体像はシスおよびトランスに作用するCNAによって支配されていた。CNAによってシスに駆動される発現外れ値(expression outlier)遺伝子群を詳細に調べることで、PPP2R2A、MTAPおよびMAP2K4における欠失を含むがん遺伝子候補が見つかった。対にしたDNA–RNAプロファイルの教師なし解析から、異なる臨床転帰を伴う複数の新規サブグループが明らかになり、検証コホートでもそれが再現された。これらの新規サブグループの中には、エストロゲン受容体陽性で11q13/14シス作用性のハイリスクなサブグループや、CNAがなく予後良好なサブグループが含まれている。トランスに作用する異常ホットスポットは、「CNAのない」サブグループでのTCR欠失を介した適応免疫応答や、基底様型乳がん特異的な5番染色体欠失関連の有糸分裂ネットワークなどの、サブグループ特異的な遺伝子ネットワークを調整することが明らかになった。以上の結果は、体細胞性CNAがトランスクリプトームに及ぼす影響に由来する、乳がん分類群の新規の分子的層別化を明らかにしている。 Full Text PDF 目次へ戻る