Letter

医学:原発性トリプルネガティブ乳がんのクローンおよび変異の進化スペクトラム

Nature 486, 7403 doi: 10.1038/nature10933

原発性トリプルネガティブ(三重陰性)乳がん(TNBC)は、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体およびERBB2遺伝子増幅の欠如によって定義される腫瘍タイプで、全乳がんのおよそ16%を占める。本論文では、TNBCの104症例において、これらのがんは診断時にゲノム進化の広範囲かつ連続的なスペクトラムを示すが、いくつかの経路に少数のコーディング体細胞変異しか見られない腫瘍もあれば、何百ものコーディング体細胞変異の見られる腫瘍もあることを示す。ハイスループットRNA塩基配列解読(RNA-seq)から、発現している変異は約36%に過ぎないことが明らかになった。今回、大規模な再解読によって、2,414個の体細胞変異について対立遺伝子の量を測定することにより、我々の知るかぎりで初めて、上皮腫瘍サブタイプにおける、集団を代表する症例間でのクローン頻度の相対量を決定した。TNBCは診断時のクローン頻度に大幅な変動があり、TNBCの基底細胞型サブタイプは非基底細胞型TNBCよりも多様性に富むことがわかった。p53(別名TP53)、PIK3CAおよびPTENの体細胞変異はほかの遺伝子と比べて優位なクローンであるようだが、いくつかの腫瘍では、それらのクローン頻度は創始者状態(founder status)と一致しない。細胞骨格、細胞の形状および運動性に関与するタンパク質の変異は、より低いクローン頻度で起こっていたことから、それらの変異は腫瘍の進行過程の後期に起こったことが示唆される。まとめると、我々の結果は、TNBC患者の生物学的特徴と治療への反応を理解するためには、個々の腫瘍クローンの遺伝子型の決定が必要であることを示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度